パウロの森の四季 2015年

2015年12月 師走

 (下線___の植物は写真があります。写真をクリックすると大きくなり名前もわかります)

 

・落ち葉が沢山つもり、静かな森です。落ち葉の道

 

・綿毛のついたタネは風に乗って運ばれます。

 カシワバハグマセンボンヤリナガバノコウヤボウキ

テイカカズラ、キジョランなど

 

ミヤマフユイチゴが実をたくさんつけています。実は甘酸っぱくおいしいです。

 こんなに実をつけているのを見るのは始めて。

 

ヤブコウジの花と実が同時に見られました。

 

ダンコウバイの蕾がもうふくらんでいます。

  

ケヤマハンノキの枯れた果穂、雄花序が風にゆれています。

 

・冬芽に特徴があります。

 ゴンズイ(短くて丸い芽が2つ並びます)

ミズキ(枝も赤く冬芽も赤くツヤがあります)

 ツリバナ(槍の穂先のようにとがります)

 リョウブ2枚の芽鱗は早く落ちて裸芽になります、通称ナポレオンハット)

 ムラサキシキブ(冬芽は裸芽なので葉の形がはっきりわかります)

 

・何枚かのキジョランの葉の裏にアサギマダラの幼虫が越冬していました。

 

 

 

2015年11月 晩秋

 (下線___の植物は写真があります。写真をクリックすると大きくなり名前もわかります)

 

・パウロの森もちょっとずつ色づきはじめました。

パウロでは黄葉になるものが多いようです。

ダンコウバイ、クロモジ、イタヤカエダウリカエデ、ヤマノイモ、アカシデ、

チゴユリなど

 

1022日にオケラの花が咲いていました。

 「オケラ」といえば地中に生息する昆虫のことを思い浮かべる人も多いでしょうが

 こちらは植物のオケラです。

 「山でうまいはオケラとトトキ(ツリガネニンジンのこと)」と言われるほどおいしい

 山菜として有名だそうです。私は食べたことがありません。ぜひ食べてみたいものです。

 花を包むように魚の骨のような形の苞があることが特徴です。

 

・花ではサラシナショウマ、カンアオイ、オヤマボクチ、タイアザミ、ノコンギクなど

 

・実ではオトコヨウゾメ(赤実)、群生するヤブコウジ(赤実)、ナツハゼ(黒実)など

 

イヌツゲの実がついていました。緑と黒どちらが本当の実でしょうか?

 緑のほうは虫えい(イヌツゲタマバエが入っているイヌツゲメタマフシ)です。

 黒いほうは本当の実です。

 

・サクラのほだ木にたくさんのナメコが出ていました。

 傘が開ききって違うキノコみたいです。

 

オオスズメバチの巣を見つけました。

 コナラの木の上の方にありました。

 

 

2015年10月 神無月

 (下線___の植物は写真があります。写真をクリックすると大きくなり名前もわかります)

 

ススキの穂が揺れて、さわやかな秋晴れが続いています。

 

・南方へ長距離の「渡り」をすることで知られているアサギマダラ優雅に飛んでいました。

 アサギマダラの幼虫の食草はガガイモ科のキジョラン

 丸い穴は幼虫が葉を食べたあとです。

 

・秋の花が咲きだしました。

 タイアザミ、キンミズヒキ、ヤクシソウ、タカオヒゴダイ、カシワバハグマ

 ヤマトリカブト、アキノキリンソウ、シロヨメナノコンギク、ヤマハッカ

 ガンクビソウなど

 

・赤い実が目立ちます

 オトコヨウゾメ、ツリバナ、ゴンズイなど

 

・その他の実

 オトコエシ、シオデ(黒くなっています)

 

・歩くとズボンのすそにひっつき虫がたくさんつきます。

 ひっつき虫とは昆虫ではなく動物や人間にくっついてくる植物のタネ!

 どんな方法でくっついてくるかじっくり観察して見て下さい。

 

フック型:キンミズヒキ、ミズヒキ、フジカンゾウ、ヌスビトハギ

トゲトゲ:イノコズチ

ネバネバ:チヂミザサ

粘液型:ノブキ、ガンクビソウ

 

・葉色が藍色を帯びて美しいコンテリクラマゴケ

 常緑のシダ植物、中国原産、クラマゴケに近縁の植物、紺照鞍馬苔と書きます。

 


2015年9月 秋

 (下線___の植物は写真があります。写真をクリックすると大きくなり名前もわかります)

 

・やっと少し涼しくなり、秋らしくなってきました。

 

9月上旬は雨が多く、たくさんのキノコが出てきました。

 カラカサダケ(食べられます)、テングダケ(有毒)、タマゴダケなど

 

センニンソウの花が満開です

 庭によく植えられるクレマチスにとても近い仲間です。

 

ヌスビトハギ(花と実)

 実は面白い形をしていて、真ん中でくびれてサングラスような形をしています。

 

ミズヒキ

 ミズヒキの花はとても小さいですがよく見ると、上側3枚の花弁は赤く、

 下の1枚は白色。この様子を紅白の水引にたとえました。

 

ヤマホトトギス

 花びらをそり返らせて咲きます。つぼみの形も変わっていて、ロケットのようです。

 

ノブキ

 一つの株にはたくさんの花がつくので、咲き始めのものから、実がなったものまで

 さまざまな段階のものを観察することが出来ます。

 

ガンクビソウ、ヤブラン、カラムシ、ヒガンバナ

ギンリョウソウモドキ(別名アキノギンリョウソウ)などが咲いています。

 

・赤い実では

 サンゴジュ、サンショウ、ツリバナなど  

 


2015年7月 盛夏

(下線___の植物は写真があります。写真をクリックすると大きくなり名前もわかります)

 

・暑い日が続いています。

 

・バス停からパウロの森に行く途中の土手にはこんなにたくさんあったかと思うほど

 ヤブカンゾウの花が咲いていました。今真っ盛りです。

 (古代に中国から渡来した植物で、花は咲いても種子はできず、根だけで増えます。

  春に出る新芽はおいしい山菜になります)

 

・ヤマユリが咲き出しました。日本の夏のイメージにピッタリ!強い芳香があります。

 

・花では

 オカトラノオ、オオバギボウシ、アキノタムラソウ、ムラサキシキブ

 ムシトリナデシコ(ヨーロッパ原産、江戸時代に渡来したそうです。

 ムシトリとは茎の節々から出る粘液で虫を捕まえてしまうことからこの名がつきました。

 食虫植物ではないので、葉や茎を食べる虫から、身を守るためだといわれています)

 

・果実では

 サンショウ 雌雄異株(葉をもむとさわやかな香りがします。若葉は木の芽と呼ばれ、

薬味に。若い果実は実山椒と呼んで佃煮に。熟した果実を粉末にしたのが粉山椒。果皮

は七味唐辛子の香料のひとつ。材はすりこぎに使われます。)

 

ナツハゼ(秋になると真っ赤に紅葉し、810月黒褐色に熟し、食べられます) 

 

ツリバナ910月熟すと5裂し、赤い仮種皮に包まれた種子を出します)

 

ミミガタテンナンショウに赤い実がついていました。

  サトイモ科テンナンショウ属の仲間は雄(球茎が一定の大きさになると)

雌に性転換することで有名です。実はいかにも毒々しい感じで有毒です)

 

・今年もタマゴダケがかわいらしい姿を見せています。

 


2015年6月 梅雨

(下線___の植物は写真があります。写真をクリックすると大きくなり名前もわかります)

 

・パウロに行く途中クリ林が沢山あり、花が一斉に咲いていました。

 

・今年もモリアオガエルの卵のうがスギの木についていました。

 

・枝や茎に白い泡がついています。なんでしょう?

 アワフキムシが作る泡です。

アワフキムシの幼虫が排泄物を泡たてた泡状の巣を作り、中に隠れています。

(アワフキムシとはアワフキムシ上科に属するカメムシ目の昆虫の総称)

 

オオカモメヅルの花を見つけました。とても小さな花です。

 

・今花が咲いているのは

 イボタ、ムラサキシキブ、ヤマアジサイ、ヤマボウシは満開です。

 

・ニガイチゴ、モミジイチゴの実がたくさんついています。

 両方とも食べれますがモミジイチゴのほうがおいしいです。

 

4月に紹介したヤブレガサに花がつきました。でもちょっと変?これは・・・。

 茎・頂芽・花柄に形成される虫えいです。ヤブレガサクキフクレズイフシ

 中にいるのがタケウチケブカミバエ、10数匹の幼虫が生活しています。

 

・今年もギンリョウソウがひっそりと咲いていました。

 


2015年5月 皐月

(下線___の植物は写真があります。写真をクリックすると大きくなり名前もわかります)

 

シロダモの若葉と新枝は黄褐色の絹毛にびっしりおおわれて、金色のペンキを吹き付けたみたいに

 光っています。

 

フタリシズカの花穂が6本あるのを見つけました。

 (フタリシズカの属するセンリョウ科の仲間は花びらも萼もなく、雄しべと雌しべだけの簡単な構造の花を

  つけます)

 

・マルバウツギ、コゴメウツギは今満開です。

 

・その他の花では

 サイハイラン(ツボミ)、キンラン、ハンショウヅル、ミヤマナルコユリ、

 ツクバネウツギ(花と萼)、ウリノキ(ツボミ)、カンアオイ、ニガナ、

 ヤブムラサキ(毛におおわれたツボミ)

 

・もう実になっているものも多くみられます。

 シオデ(緑の実→黒色へ)、ハナイカダ(緑の実→黒色へ)、アカシデ

 ウグイスカグラ(赤実)、ウリカエデ(カエデ特有のプロペラの実)

 

フデリンドウ3月(ツボミ)・4月(花)と続きましたが最後は種子の紹介です。

 フデリンドウの種子は雨滴散布といって、雨粒で種子を飛ばします。    

 


2015年4月 山笑う

(下線___の植物は写真があります。写真をクリックすると大きくなり名前もわかります)

 

・いろいろな樹木が芽吹きはじめて、やっと春らしくなってきました。

 パウロの森の周辺ではまだヤマザクラが咲いています。

 

コナラやオニグルミの雄花序が風に揺れていました。

 

3月に紹介したフデリンドウが咲きました。とても小さくてかわいらしい姿です。

 

・花期が長いタチツボスミレが満開です。

 ナガバノスミレサイシンに実が付き、花の咲いた後の葉は倍以上の大きさになります。

 

・今咲いている花は

 ニガイチゴ、モミジイチゴ、チゴユリ、ホウチャクソウ、シロバナエンレイソウ、

 ヤマブキなど

 

・ちょっと変わったところではヤブレガサは開きました。

 キノコのように地面からにょきっと出てきます。その姿は破れた傘そっくりです。

 (写真は 出始めと開いたところの二つです)

 

 


2015年3月 早春

 (下線___の植物は写真があります。写真をクリックすると大きくなり名前もわかります)

・今年もヤマアカガエルの卵が産みつけられていました。

 

ウグイスカグラの小さな花が下向きにひっそり咲いていました。

 

ニワトコの蕾がほころび始めています。

 

シュンランにもしっかりと蕾がついています。

 

・高さ10cm弱の小さなフデリンドウを見つけました。

 花が咲くのが楽しみです。

 

アオキの実にいびつな形のものが多いような気がします。

 なぜでしょうか?

 

 それはアオキミタマバエに寄生された実です。

 アオキミタマバエに寄生された実は変形して真っ赤にならないし、

 タネもできません。初夏まで落下しないそうです。

 ちなみにアオキは雌雄異株なので実がなるのは雌株です。